鋳物・鋳造材料の種類
2025.10.03

自動車のエンジンから日用品に至るまで、私たちの身の回りには多くの鋳造品があります。しかし、その用途や求められる特性に応じて、使用される鋳物材料は多岐にわたります。
本稿では、主要な鋳物・鋳造材料を「鉄系鋳物」と「非鉄系鋳物」に分け、それぞれの特性について、鋳物切削加工のプロフェッショナルが解説します。
鋳物・鋳造材料の種類
鋳物とは、金属を溶かして型(鋳型)に流し込み、冷やし固めて作った製品のことです。この製造方法を鋳造といい、複雑な形状の部品を効率的に大量生産できるという大きな利点があります。一口に鋳物といっても、材料によって様々な特性を持ち、あらゆる用途に使用されます。
鋳物・鋳造品に使われる金属材料は、大きく分けて鉄系鋳物と非鉄系鋳物に分かれます。
鉄系鋳物
鉄を主成分とする鋳物で、最も広く利用されています。炭素の含有率によって、2.0%以上が鋳鉄、2.0%未満を鋳鋼と区別します。鋳鉄は炭素が多い分、鋳造性に優れるものの粘り強さは劣り、鋳鋼は強度が高く溶接も可能ですが、鋳造後は熱処理が必須です。
- ・鋳鉄:炭素を2.0%以上含む鉄の合金です。優れた切削性や振動減衰性、耐摩耗性を持っています。さらに、ねずみ鋳鉄、ダクタイル鋳鉄、可鍛鋳鉄の3種類に分けられます。
- ・ねずみ鋳鉄(FC材): 広く使われる一般的な鋳物で、優れた切削性や振動減衰性を持っています。黒鉛が薄い板状になっており、破面がねずみ色に見えることから名付けられました。加工がしやすく、車のエンジンブロックや機械の台座など、幅広い用途に使われます。
- ・ダクタイル鋳鉄(FCD材): 黒鉛が球状になっており、ねずみ鋳鉄よりも強度や靭性に優れています。水道管や自動車部品など、高い強度が必要な部品に使われます。
- ・可鍛鋳鉄(FCMB材): 靭性と強度が高く、衝撃に強いのが特徴です。
- ・鋳鋼(SC材): 炭素鋼鋳鋼品の略称で、炭素を2.0%未満しか含まず、鋳鉄よりも強度と靭性が高いのが特徴です。建設機械のバケットや鉄道車両の車輪など、強度と粘りが求められる部品に使われます。
非鉄系鋳物
鉄以外の金属材料を主成分とする鋳物です。
- ・アルミニウム合金鋳物:最大の特徴はその軽さと高い熱伝導性です。これにより、自動車のエンジン部品やホイール、航空機部品など、軽量化と放熱が求められる分野で広く利用されています。
- ・ステンレス合金鋳物:クロムやニッケルを含む合金で、その最大の特徴は優れた耐食性と耐熱性です。これにより、錆びにくく高温環境でも使えるため、食品機器、化学プラント、医療機器の部品などに使われます。複雑な形状でも高い強度を維持できるのが強みです。
- ・銅合金鋳物:銅と他の金属(亜鉛、錫など)の合金です。代表的なものに青銅(ブロンズ)や黄銅(ブラス)があります。高い電気伝導性と熱伝導性、そして優れた耐食性が特徴です。このため、電気部品、バルブ、配管部品、さらには美術工芸品など、幅広い用途で使われています。
- ・亜鉛合金鋳物:非常に流動性が高いため、複雑な形状や薄い壁の部品を高精度に作ることができます。特にダイカスト(高圧で金属を鋳型に注入する鋳造方法)によく用いられ、玩具、電化製品の筐体、自動車部品など、精密さが求められる製品に多く使われています。
- ・マグネシウム合金鋳物:マグネシウムは実用金属の中で最も軽いことで知られています。アルミよりもさらに軽量でありながら、高い強度を持っています。このため、自動車や航空機、ポータブル電子機器の筐体など、極限まで軽量化したい製品に利用されています。
弊社における鋳物の高精度切削加工
当サイトを運営する株式会社友照工業が、多くの実績を持ち得意とするのが、□630サイズまでのアルミ鋳物・鋳鉄の高精度マシニング加工です。
自動車メーカー様・Tier1部品メーカー様をはじめとする設計・開発部門と連携した試作品・テストピースの製作に加え、補給品(サービスパーツ)の生産について豊富な実績があり、支給材の切削加工だけでなく、粗材調達から切削加工、圧入・組付けを含む「粗加一貫」の対応が可能です。

弊社の本社工場・第2工場では、三井精機の横型5軸マシニングセンタ3台をはじめとする、約40台のマシニングセンタを保有しており、月産数百個~数千個までの小中ロット量産にも対応可能です。 例えば、ブロックシリンダであれば月産300個、ATトランスミッションケースで月産3,000個、ラテラルロアアームのような比較的小物であれば月産18,000個の量産実績がございます。
さらに、「よいモノをつくるためには、よい道具(治工具・設備)を使わなければいけない」という考えのもと、とりわけ切削工具の選定にこだわっております。海外メーカーを含む複数の工具メーカーに依頼し、ハイエンドの特注ダイヤモンド工具を手配しております。
また、お客様から評価いただいているのが、温度・湿度が均一で空調ムラが発生しない20℃ ± 0.5℃の恒温恒湿工場です。これにより、穴ピッチの変化や加工条件の調整が必要なく、不良をほとんど無くすことができ、高精度な鋳物切削加工を実現できております。
鋳物切削加工の事例
弊社が過去に加工した製品をご紹介します(機密保持の関係上、製品画像はAIで生成しております)。

FC280-21 直列4気筒ブロックシリンダ
農業機械のエンジンを構成する直列4気筒ブロックシリンダです。
マシニング加工ののち、キャップ組付、サブアッシー後のマシニング加工を経て、内部の鋳巣をチェックをしたうえで納品いたしました。

FCA 直列6気筒ブロックシリンダ
粗材は、減衰能に優れたねずみ鋳鉄であるFCA材(片状黒鉛鋳鉄)を採用しています。
ブロック本体にラダーキャップを組み付けたのち、Φ58×620mmのクランク穴を同軸度20μmで加工しました。ボアボーリング+ホーニング加工によりΦ86×120mmの穴を真円度10μmの高精度で仕上げております。

ADC10 クラッチハウジング
粗材は、ADC12に比べSi量がやや少なく引張強度に優れるアルミダイカストADC10を採用しております。
サイズが大きく薄肉のワークですが、粗材の一部をくり抜き切除する必要があるため、加工圧による歪み発生を極力低減する工程設計を行いました。

AC4B-T6 ヘッドシリンダ
全長が長いためワーク取り付け時の誤差や機械加工誤差が、比較的出やすいワーク形状です。例えばワークを縦加工する場合、取り付け時に垂直でない場合にY軸が斜めに走ることになり穴位置ズレとなりやすくなります。他方、ワークを寝かせて加工する場合も、B軸反転精度誤差により長手方向両端の端面位置(厚み)が大きく変動することになります。
鋳物切削加工なら、友照工業にお任せください
友照工業では、図面段階からの技術相談、試作、小中ロット加工まで幅広く対応しております。
鋳物の高精度切削加工なら、友照工業にお任せください。
運営元:株式会社 友照工業