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ねずみ鋳鉄(FC材)の切削加工におけるポイント

2026.02.11

ねずみ鋳鉄(FC材)の切削加工におけるポイント|アルミ・鉄鋳物 高精度切削加工.com

ねずみ鋳鉄(FC材)はその優れた特性から、古くから工作機械のベッドやエンジンブロック、各種油圧部品などの材料として重宝されてきました。一方で、その加工特性は独特であり、高精度な切削加工をするためにはノウハウが要求されます。

本稿では、ねずみ鋳鉄(FC材)の切削加工におけるポイントについて、鋳物切削加工のプロフェッショナルが解説します。

ねずみ鋳鉄は、炭素とケイ素を主成分とする鉄合金であり、断面がねずみ色(灰色)に見えることからその名が付けられました。JIS規格ではFC200やFC250といった符号で表記されますが、この数値は引張強さの最低値を保証するものです。

最大の特徴は、金属組織の中に片状(薄片状)のグラファイト(黒鉛)が分散している点にあります。このグラファイトがクッションのような役割を果たすため、振動を吸収する減衰能に極めて優れており、精密機械の土台など、振動を嫌う構造体に最適な素材となります。また、熱伝導率が高く熱膨張係数が小さいため、熱歪みに対しても安定した挙動を示します。

設計や購買の場面でよく比較されるのが、ダクタイル鋳鉄(FCD材)です。両者の最も大きな違いは、組織に含まれるグラファイトの形状にあります。ねずみ鋳鉄が片状であるのに対し、ダクタイル鋳鉄はマグネシウムなどの添加によってグラファイトを球状に変化させています。

この形状の違いは、材料の粘りと強度に劇的な差を生みます。ダクタイル鋳鉄は強靭で、鋼に近い引張強さと伸びを持っていますが、その分、切削加工時には切り屑が繋がりやすく、刃先への負荷も大きくなる傾向があります。対してねずみ鋳鉄は、脆性(もろさ)があるため大きな荷重には不向きですが、切削時には切り屑が細かく砕けやすく、切削抵抗そのものは比較的低いという利点があります。

用途によって「振動吸収性と切削性のFC」か、「強度と粘りのFCD」かを選択することが、設計上の重要な判断基準となります。

ねずみ鋳鉄の切削加工における技術的なポイントについて解説いたします。

黒皮の除去と工具寿命


鋳造直後の表面を覆う酸化皮膜、いわゆる黒皮には、鋳型から混入した砂やシリカが含まれており、非常に硬く摩耗性に富んでいます。不用意に浅い切り込みで加工を始めると、刃先がこの硬い層にこすられ、一瞬で寿命を迎えてしまいます。そのため、荒加工では黒皮の層を一気に突き破るような深めの切り込み設定を行い、内部の比較的柔らかい組織を捉えることが鉄則です。

欠けの発生を防ぐコーナー部の処理


FC材は脆いため、加工中にクラックが起きやすい性質を持っています。これを防ぐには、刃物がワークから抜ける際の角度や送り速度を細かく調整する必要があります。例えば、面取り加工を先行させたり、工具の進行方向を工夫したりすることで、設計者が求めるシャープなエッジと寸法精度を両立させます。

当サイトを運営する株式会社友照工業が、多くの実績を持ち得意とするのが、□630サイズまでのアルミ鋳物・鋳鉄の高精度マシニング加工です。

自動車メーカー様・Tier1部品メーカー様をはじめとする設計・開発部門と連携した試作品・テストピースの製作に加え、補給品(サービスパーツ)の生産について豊富な実績があり、支給材の切削加工だけでなく、粗材調達から切削加工、圧入・組付けを含む「粗加一貫」の対応が可能です。

弊社の本社工場・第2工場では、三井精機の横型5軸マシニングセンタ3台をはじめとする、約40台のマシニングセンタを保有しており、月産数百個~数千個までの小中ロット量産にも対応可能です。 例えば、ブロックシリンダであれば月産300個、ATトランスミッションケースで月産3,000個、ラテラルロアアームのような比較的小物であれば月産18,000個の量産実績がございます。

さらに、「よいモノをつくるためには、よい道具(治工具・設備)を使わなければいけない」という考えのもと、とりわけ切削工具の選定にこだわっております。海外メーカーを含む複数の工具メーカーに依頼し、ハイエンドの特注ダイヤモンド工具を手配しております。

また、お客様から評価いただいているのが、温度・湿度が均一で空調ムラが発生しない20℃ ± 0.5℃の恒温恒湿工場です。これにより、穴ピッチの変化や加工条件の調整が必要なく、不良をほとんど無くすことができ、高精度な鋳物切削加工を実現できております。

弊社が過去に加工した製品をご紹介します(機密保持の関係上、製品画像はAIで生成しております)。

FC280-21 直列4気筒ブロックシリンダ


農業機械のエンジンを構成する直列4気筒ブロックシリンダです。

マシニング加工ののち、キャップ組付、サブアッシー後のマシニング加工を経て、内部の鋳巣をチェックをしたうえで納品いたしました。

FCA 直列6気筒ブロックシリンダ


粗材は、減衰能に優れたねずみ鋳鉄であるFCA材(片状黒鉛鋳鉄)を採用しています。

ブロック本体にラダーキャップを組み付けたのち、Φ58×620mmのクランク穴を同軸度20μmで加工しました。ボアボーリング+ホーニング加工によりΦ86×120mmの穴を真円度10μmの高精度で仕上げております。

ADC10 クラッチハウジング


粗材は、ADC12に比べSi量がやや少なく引張強度に優れるアルミダイカストADC10を採用しております。

サイズが大きく薄肉のワークですが、粗材の一部をくり抜き切除する必要があるため、加工圧による歪み発生を極力低減する工程設計を行いました。

AC4B-T6 ヘッドシリンダ


全長が長いためワーク取り付け時の誤差や機械加工誤差が、比較的出やすいワーク形状です。例えばワークを立てた姿勢で加工する場合、取り付け時に垂直でない場合にY軸が斜めに走ることになり穴位置ズレとなりやすくなります。

他方、ワークを寝かせた姿勢で加工する場合も、B軸反転精度誤差により長手方向両端の端面位置(厚み)が大きく変動することになります。

友照工業では、図面段階からの技術相談、試作、小中ロット加工まで幅広く対応しております。

鋳物の高精度切削加工なら、友照工業にお任せください。

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